■ 野茨 -ノイバラ- ■
11月も下旬となりました。
鮮やかだった野山も落葉が進み、寂しい様相に。
今日は雪も舞う空に、寒さを増して感じます。
こうして本格的な冬に向かいつつある今日この頃、
せめて店内は明るくありたいものだな・・・と思っていると、
オーナーがカフェの床の間を暖かく、
そして華やかにあしらって下さいました。
小さく可愛い赤い実のこの植物は、
『野茨 のいばら 』
初夏に小さな花を咲かせ、秋に実をつけるこのノイバラは、
野山で簡単に目にすることの出来る植物で、
実が漢方薬の<営実
エイジツ>と呼ばれ、
解熱剤、利尿剤として用いられるそうです。
古くは万葉集にも詠われている、日本人には馴染み深いものでもあります。
「道の辺の茨(うまら)に這(は)ほ豆のからまる君を別(はか)れか行かむ」
●口語訳●
道端に生えている茨の枝先までまつわりつく豆のように、
離れまいとする妻と別れてどうして出かけられるのか。
防人という三年任期で任にあたった人物の作品
古の時代から愛され、地に深く根付き大きく育つノイバラ。
寒さに負けない強さが、雪で真っ白に覆われる時季に永く
明るさをもたらしてくれそうです。